エピローグ 約十日後
俺と静華は二人、暗い道を歩いていた。
電灯も点けず、だがしっかりと俺たちは故郷へ向かって進んでいた。
「もう少しね」
「ああ、そうだな」
俺の足取りはふらつく。あちこちガタがきている上、背中に見つけ出した故郷の仲間を背負っているからだ。五人のうち、唯一こいつだけが無事だった。皆を探し回り、帰還はすっかり遅れた。だが一人だけでも、助けることが出来て本当に良かった。今は疲れ果てて眠っている。
「静華、生きるってのはどういうことだと思う」
「え?」
「俺は初めてそれが分かった気がする」
あの葉の無い木は、代わりに葉となり潤いをもたらしてくれる仲間に気づけたのだろうか。
静華は僅かに微笑み前方を指した。
俺たちはそこから溢れ出る光の中へとゆっくりと消えていった。
終
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